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誰だって懐かしい味を持っています。そして、みんなに未知の味があります……。その懐かしい味が次の世代にとっては未知の味になりつつあるからこそ、スローフードは伝統的な食材・食品や料理にこだわるのです。
でも、もし、いま江戸時代の料理を復元したとしても、私たちがそれを美味しいと感じられるかどうかは、わかりません。味覚は時代とともに変化してゆくものです。日本の食材や料理は、中国に起源を持つうどん、ポルトガルから伝わった天麩羅、明治以降作られるようになった肉を使う惣菜、そして最近では韓国料理をそのまま取り込んだ明太子やキムチなど、世界の影響を受けながら独自の味を培ってきました。いまの日本で伝統的な食文化とされているものも、その多くは他の国の味覚を新たに取り入れてそれが根付いた結果なのです。
伝統とは、成功した改革が残す遺産です。 |
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かつてイタリアにはこんなリンゴもあった
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伝統的な食文化はさまざまな多様性から生まれてきました。しかし、いま私たちが口にする食材・食品はあらゆる領域で工業化が進み、じつは味の選択の幅が狭まっているのです。画一化された味は、人から食べる喜びを奪います。私たちは、食文化の多様性とその多様性が生む未来を確かめたいのです。
まぶたに焼き付いた光景、耳に残る言葉……、それらが人の生き方に重要な意味を持つのと同じように、私たちの舌の記憶には、これからの暮らしを本当に豊かにするヒントがあります。 |
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日本の伝統食はスローフードそのもの
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人間は食べ物を食べなければ生きてゆけません。
しばしば「食べてゆく」という言葉は、「生きてゆく」ことや「生活する」ことと同じ意味で使われます。つまり、──私たちがどんな暮らしを送っているのか? が、日頃口にする食べ物に現れるのです。私たちが、食材や料理の大量生産よりも手作り、規格化よりも個性、近代性よりも伝統、効率よりも品質、全国的であるよりも地域性、そしてもちろん化学的ではなく有機的であることを重視する理由は、そこにあります。
暮らしの中身は食べる物の品質によって決まるのです。
本当に美味しい食べ物には、食べるたびに新たな味の発見があります。その発見が人類に「料理」という文化をもたらしました。そして、料理は、食事を、食べる楽しさや喜びを分かち合う場へと変えたのです。夕食の食卓から結婚式の披露宴に至るまで、人は家族や仲間とともに料理を味わうことでコミニュケーションを計ってきました。
スローフードとは、食べる喜びや楽しさを通じて私たちの暮らしや生き方を考え直そうという運動です。それがスローフードから始まるスローライフなのです。
まず、食べることにこだわらなければ、スローな生き方や暮らしはできません。
スローライフは、スローフードから始まります。 |
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