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- 新しい試みの食の祭典 -
 イタリア・トリノ市で開催された「Salone del Gustサローネ・デル・グスト:食の祭典」は、今年で5回目になる。第1回は1994年。イタリアのスローフード協会が、自分たちの活動の集大成として2年に1度開催する。イタリアを越え、全世界から約15万人が訪れ、貴重な食に接する。
 2004年(10月20〜25日開催)は、今までとは違った。世界で良質の食の生産活動を地道に行っている生産者が一同に介する会議「5000人世界生産者会議Terra Madreテッラ・マードレ」が会長カルロ・ペットリーニの提案により別途、開催されたのである。日本からも70数名が参加し、世界中の生産者同士が議論を交わした。詳細は、日本にスローフード運動をいち早く紹介した島村菜津さん(作家)が『サンデー毎日』で報告しているので、そちらを参照していただきたい。

会場入り口には入場者が詰めかけていた。

 さて、「サローネ・デル・グスト」に出展のいくつかをご紹介しよう。大きな展示会場は食とワインを楽しむ人たちで溢れ、出展ブースの小径をすれ違うのが大変だった。野菜の小径、チーズの小径、ハム・ソーセージの小径といった感じで、種類別に分かれている。「味の箱船L' Arcaアルカ*」のコーナーもあり、「Presidiプレシディオ*」として認定されたコーナーもある。目を引いたのが、「貴婦人」のごとき衣装、ではなく羽根をもつ雌鶏、パドバ・チキンだった。パドバは、観光地として常に上位にあるベネチアの隣の伝統的な町である。絶滅の危機にあったパドバのチキンが「プレシディオ」として認定されたことで評判となり売り上げ数の増加につながっているという。またシチリアのカターニャ湾におけるマッギア(magghia)という網による地中海における伝統的な漁獲法で獲られた小鰯。この漁獲法は現在、カターニャ湾の他、カンパーニア州ペストゥムの近くにしか残っていない。今でもこの網を使っているのは30件のみ。網にかかった小鰯は海の水の中で自然に血抜きされ、身が引き締まり甘味が出るという。獲れたては生のままレモンやオイル、唐辛子で頂く。残りは塩漬けにして保存しソースなどにも使われる。伝統料理も味見をした。コマッキオの名物料理「うなぎ」のマリネである。白身魚のスズキのようにふんわりと柔らかい食感で塩味と薄目の酢がとてもおいしい1品であった。このマリネ法が「プレシディオ」に認定された。その他、キリスト教が生まれる前から結婚式の祝い菓子として作られている北サルデーニャ地方中部、オズィエリという町の菓子「コプレータ」(サルデーニァ地方。軽やかなパイ生地にアーモンドの粉のスポンジを重ね、レモンとリキュール風味のアイシングをかけたもの)など、食の多様性を実感した。
出展者に質問すると、懇切丁寧に説明してくれる。話し出すと、なかなか止まらない。
(チンクエテッレのシャッケトラ(デザートワイン)の出展者

*アルカ、プレシディオ:スローフード運動の主なる目標の中に、生物多様性の保護がある。「絶滅の危機に瀕している動植物、農産物の保護」という概念のもと、「味覚の方舟(アルカ)」と「プレジディオ(防衛)」計画によって具体化される。イタリアではすでに500種以上の食材が『味の方舟』に登録され、約150種が『プレジディオ』に指定されている。

スローフード協会会長カルロ・ペットリーニ氏からメッセージ
イタリアのスローフード協会会長の
カルロ・ペットリーニ氏。
 10月24日、イタリアのスローフード協会会長カルロ・ペットリーニとスローフード・ジャパンの会長である若生俊彦氏との間で調印式が執り行われ、日本が正式にスローフードインターナショナルの仲間入りをした。アメリカ、ドイツ、フランス、スイスについて5か国目である。「緊張で手がふるえちゃう」と言いながら調印する若生氏の頬は少々、紅潮気味。その後、横浜スローフード協会として、カルロ・ペットリーニ氏に独占インタビューを行った。
氏はインタビューで、「サローネ・デル・グストは、スローフード協会およびその活動の成長を示すものであります。L' Arcaアルカの活動をはじめ、次にPresidiプレシディオ、そして今年度はTerra Madreテッラ・マードレと、活動を拡げてきました。つまり、農産物を守り、そして環境を守り、生産者の社会的権利を守るというふうに…」と、これまでの歩みを説明した。彼は、「スローフードとは、「ゆっくり食べる」ということではなく、人生の哲学なのです」と語る。毎日、少量ずつ「ゆっくりさ」を生活に取り入れていくことは、ホメオパティック薬のように私達の健康につながるのだと。
最後に、カルロ・ペットリーニ氏から横浜市長および当協会員にあてたメッセージをご紹介したい。
「みなさんがこうした運動を発展させていくことを願って、横浜コンヴィヴィウム(支部)の協会員の皆さんにご挨拶を申し上げたいと思います。そして、我々の運動を応援しようと関心を示して下さっている中田市長に対してご挨拶を申し上げたい。こうした運動は横浜市をより美しいものにするのにきっと役立つと確信します。ありがとう。」

会場内は、人でいっぱい。


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